2014年11月12日水曜日

宮城学院観察会

1015日(水)に宮城学院中学校で『身近な環境の生きものの多様性~丸田沢の水生動物相~』をテーマに出前授業を行いました。この授業では、宮城学院中学校のキャンパス内にある丸田沢に生息する水生動物を観察して、身近な自然に生息する生きものの多様性やその分類についての理解を深めてもらうことを目的としています。

丸田沢で掬ってきた水が入ったバットから、生徒さん一人一人に生きものをスポイトや小さな網を使って、すくい取ってもらいます。大きな生きものでは、ヨシノボリ(ハゼの仲間)やエゾトンボやイトトンボのヤゴ、ヌマエビなどが見つかり、小さな生きものでは、チビミズムシやホソカの仲間、カゲロウの幼虫などを捕まえることができました。

生きものを捕まえた後は、その生きものに合わせた様々な方法で観察と種の同定を行いました。大きい生きものは透明なケースに入れて、様々な方向から観察して、動き方などの特徴を捉えて、種類を判定しました。肉眼では見えない生きものも、みちのく博物楽団が作成した『どこでも顕微鏡』を使って、観察と種類の同定を行いました。最初は虫を恐る恐る眺めていた生徒さんも、最後には楽しそうに観察していました。

観察が終わった後は、向井先生による分類学の講義を行いました。生きものの特徴で調べた種名をヒントに、生物の階層構造を辿っていくことで、自分の見つけた生きものがどんな生物と近縁になるのかを、調べることができます。こうした分類学の説明も生徒さんは熱心に聞いてくれました。

50分という限られた時間でしたが、生徒さんにとっては身近な自然に生息する多種多様な生きものの特徴を観察し、種を同定しただけでなく、分類学の基本も学ぶことのできた、内容の濃い授業だったのではないかと思います。

*この授業は、宮城学院中学校のHPでも紹介されています。
http://www.miyagi-gakuin.ac.jp/topics/2014/junior/jh20141017.html

(文:滝澤護 写真:三浦真実)






2014年10月6日月曜日

科学で東北を盛り上げ隊!@石巻

927日(土)イオンモール石巻にて開催された「科学で東北を盛り上げ隊!@石巻」に参加しました。このイベントでは、山形大学のプロジェクトチームを中心にさまざまな団体が科学体験コーナーを設置していました。みちのく博物楽団は「プニプニ化石のレプリカを作ろう」と題して、石巻産や南三陸産のアンモナイト化石のレプリカストラップ作成体験を実施しました。



当日は200名を超えるお客さんに参加していただきました。



みなさん真剣な表情でレプリカ作りに取り組んでいました。アンモナイト型を選んで、お湯で温めた好きな色の「おゆまる」を押し込みます。しばらく冷やしたら型から取り出して、ストラップに仕立てます。



化石のラベルも自分で書きました。


おゆまるを温める間に、「アンモナイト」についてちょっと勉強しました。アンモナイトの意外な正体にびっくり?



「科学で東北を盛り上げ隊!@石巻」は今年2月に続けて2度目の参加となりましたが、「すごい」や「へぇー」、「面白かった」という声に毎回励まされます。科学の楽しさをもっと伝えられるよう、工夫を重ねていきたいです。次回は来年2月ごろ開催予定です。ご参加お待ちしています!


(文:静谷あてな、写真:向井康夫)

2014年8月29日金曜日

東日本大震災スタディツアー

「東日本大震災スタディツアー」というイベントのお手伝いをしました。このイベントは726日~28日の3日間、神奈川県小田原市の中高生が被災地を学習旅行するというものです。26日は東北大学にもツアーの一環として小田原市の皆さんがいらっしゃいました。


下の写真はその時の様子です。まず全体的な説明を受ける皆さん。



その後いくつかのグループに分かれて震災の映像を3Dで見たり



MRで被災地の様子をバーチャル体験したりと様々な角度から震災について学んでいました。



参加者の方々は皆真剣な顔で説明を聞いて、自分なりに考えているようでした。
このイベントをきっかけに被災地の「今」を知り、少しでも災害について考えるきっかけになればと思います。

(文・写真:三浦真美)

2014年8月28日木曜日

SMMAクロスイベント「みんなでどろんこ!生きもの観察 in 地底の森」

713日,27日にSMMA参加館の地底の森ミュージアムさんと共同で仙台市富沢の田んぼに生息している生き物観察会を行いました.

夏の暑い時期に開催しましたが,たくさんの親子の方に参加していただきました.



今回は田んぼに棲息している生き物を自分の手で捕まえて,その特徴をじっくりと参加された方に観察してもらうことに重点を置いています.

まずは田んぼやその脇を流れる水路で,生き物を泥ごと掬い採ります.



掬い採った泥には一見すると生き物は見えませんが,実はたくさんの生き物が隠れています.泥はいったんバケツにためて,あとできれいな水で洗います.



泥を洗うと,ザリガニやカエル,魚などの大きな生き物だけではなく,ルーペを使わないと見えない貝形虫やユスリカの幼虫などの小さな生き物もたくさん観察することができました.



捕まえた魚をケースに入れたときは「メダカだ!」といっていた子供さんもイラストの書かれた魚の分類表を見ながら,背びれの位置や尾びれの切れ込みなどを注意深く観察していくと,最後には「タモロコ」という別の魚であることがわかりました.

他にも水の中をウニョウニョと動く2〜3mmの芋虫のような生き物もルーペを使って特徴を追っていくと,ユスリカの仲間であることがわかり,肉眼でみただけでは区別がつかなくても,数種類のユスリカがいることがわかりました.

生き物の観察では,ザリガニや魚などの大きな生き物に注目してしまいがちにはなりますが,よく観察してみると,普段は気づかない,様々な生き物が田んぼの中に住んでいることを知っていただけたと思います.
また,一見すると同じ種類に見える魚でも特徴をじっくりと観察することで様々な種類に分けられます.今回の観察会を通して,生き物の特徴をじっくりと調べる大切さを知っていただけたと思います.


(文:滝澤護 写真:鹿納晴尚)

2014年8月13日水曜日

子ども自然史ワークショップ 2014 「その2 しぜんし」

721日、南三陸町ポータルセンターで行われた「南三陸町子ども自然史ワークショップ」というイベントのお手伝いをしてきました。
今回のテーマは「しぜんし」!ということで、南三陸町の海の生き物や鳥たちを題材にした5つのプログラムとともに開催されました。


こちらは私がお手伝いしてきました「かげえすいぞくかん」のブースの様子です。


お魚さんたちの絵をくりぬき、色とりどりのセロハンを貼りつけます。



すると、こんな感じのものができあがります。
そしてこれに光を当てて白い布に投影します。


……すみません。写真撮り忘れました。
1枚目の写真の後ろの方にちょっと見えているのが投影したものです。
そこには、美しい海の風景が広がっておりました。

その他には海の生きものたちのマリンステンシルペイントやカラフル魚拓のコーナー,イヌワシ貼り絵と鳥のオリジナル塗り絵缶バッジのコーナーがありました。

来場者の皆様には、南三陸の自然を作って体験、楽しく遊びながら学んでもらえたのではないかと思います。



(文,写真:條将太)

サイエンスデイ&表彰式!

720日に東北大学川内キャンパス講義棟をメイン会場として開催された学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2014では、県内の教育機関、研究機関、民間企業等が連携して一般の方々に科学の本質を知ってもらう体験イベントを実施しました。


我々みちのく博物学団は青葉山キャンパスにある東北大学総合学術博物館にて、「ミニミュージアム inミュージアム」と題した、かつて東北大学(東北帝国大学)の地質学古生物学教室において研究に励んでいた矢部久克、早坂一郎等の教授達にゆかりのある化石標本や現生標本を、その教授の経歴や研究内容の解説を交えた特設展示を作り、一般公開しました。また、館内来場の方々に常設展示の解説も行いました。




やはり目を引くのは、アンモナイト化石研究で有名な矢部長克が研究・記載した「ニッポニテス」やS字カーブが特徴的な兵庫県産の異常巻きアンモナイト「プラビトセラス」、松本彦七郎が研究した黒光りする「センダイゾウ」の歯の化石などでしょうか?畑井小虎や早坂一郎が研究していた腕足動物化石は、初めて見る方々には二枚貝の化石に見えるようで、解説の中で二枚貝とはまったく異なる動物であることを伝えると、「へぇー、そうなんだー」と驚いた様子でした。

普段は博物館の標本庫に大切に保管してあり、あまり一般の目に触れる機会の少ない標本達ですが、その中でも特に珍品なのが、早坂一郎があの宮沢賢治から譲り受けたと言われるクルミの化石です。こんなモノが博物館に保管されていたとは、正直我々も驚きでした。


恐竜が好きで来場された子どもさんも多く、ステゴサウルスや昨年7月に加わったフクイラプトル・キタダニエンシス、当館所蔵のウタツサウルスが人気のようでした。ちなみに、ウタツサウルスの種小名「ハタイイ」は前述の畑井小虎にちなんで付けられたものです。

常設展示の解説をすると、やはり見ただけではどういう内容の展示かわからないという方が多く、「わかりやすい解説、ありがとうございました」とのお声かけを頂きました。

メイン会場の川内キャンパスから離れた総合学術博物館での出展にも関わらず、子どもさんから大人の方々までたくさんの来館があり、年齢を問わず多くの方々に東北大の地質研究の歴史や地学について知ってもらえたと思います。



表彰式では、宮城県仙台二華高等学校 地学部さんに
「みちのく博物楽団賞」と、副賞として缶バッジセットを贈呈いたしました。


(文:藤岡大,條将太 写真:みちのく博物楽団)

2014年5月4日日曜日

「へくり沢」講演会活動報告

4月26日(土)、仙台市柏木市民センターにて「へくり沢」やその周辺の地形の成り立ち、人との生活のかかわりについての講演会が行われました。
そのもようについて、講師の理学部地学ゼミナールの神田兵庫君から活動報告をいただいたのでお伝えします。


***


426日に、柏木市民センターで「へくり沢」に関する講演会を行いました。
当日は、20人程度の方々に市民センターへお集まり頂きました。



「へくり沢」とは、仙台に昔流れていた川のことです。かつては国見・貝ヶ森方面から広瀬川に向かって川が流れていて、特に下流側は深い崖になっていました。
「尚絅学院の脇の崖のとこ」と言えば、分かってくださる方も多いかもしれません。
この川は、太平洋戦争のときに生じた戦災がれきなどで埋め立てられ、今は流れを見ることは出来なくなってしまいました。

昨年度、柏木市民センターでこの「へくり沢」の地形を立体地図にする講座が通年で開かれました。
昭和33年の地形図を基にして、地形を立体的に表す模型を半年ほど掛けて有志の方々が制作してきたとのことです。
このたび、その模型が完成したということで、当日はそのまとめとしての講演会だということでした。
これが、完成した模型です。


講演では、はじめにへくり沢や、近くを流れていた四谷用水という用水路に関する説明を行いました。しかし、講演会に参加してくださった方はこの地域に昔から住んでいる方や模型作りに携わった方も多く、基本的な知識に関してはすでに多く共有できている印象を受けました。

次に、先の説明を基に立体地図の前でへくり沢やその周辺の地形に関して解説。わかっていることはもちろん、私たちが考えた意見も立体地図を使いながら提示しました。すると、皆さん席を立ちあがり、立体地図を囲むようにして集まってきます。私たちの意見に関する見解を含め、様々な人が様々な考えや知識を披露し合いました。出来上がった立体地図には細かい地形が再現されているので、内容の深い議論を参加者の皆さんとすることができました。私たちがむしろたくさん勉強させられたような・・・


さて、今年度は柏木市民センターの通年講座として、立体地図を基にしてこの付近のジオラマづくりを行うそうです。興味のある皆さんは、ぜひ一度足を運んでみてくださいね。


(報告・写真:神田兵庫君)


***


私たちが普段何気なく暮らしている町でも、視点を変えることで様々な発見があります。
日差しや若葉の匂いが気持ちいいこの季節、皆さまも地域の魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。


(文:山口美智)

2014年3月20日木曜日

南三陸化石の学校に参加しました!

2月16日、南三陸町ポータルセンターで行われた「南三陸化石の学校」にスタッフとして参加しました。

前日、仙台では記録的な大雪...
どうなることかと思いましたが、当日はすっかり晴れて一安心!

午前中は会場設営と雪かきであたふた...

12時開場!10分前にはすでに大行列が...!

みちのく博物楽団の持ち込みコーナーは、「アンモナイト拓」です。

南三陸産の化石は押しつぶされてペッタンコ。
この化石に用紙を乗せて、好きな色のクーピーでごしごしこすると、魚拓ならぬアンモナイト拓のできあがり!
子どもも大人も夢中でこすっていました。
出来上がったアンモナイト拓に自分の名前を書いて、ひもを通したら名札の完成です。

このほかにも、化石スタンプを押したキーホルダーを缶に詰め込む「歌津魚竜缶」、キラキラシートでつくる「魚竜のきらきら☆しおり」、ドイツ人地質学者のナウマン博士が130年前に南三陸で発見した貝化石の「モノティス化石レプリカ」など、化石好きにはたまらない工作ワークショップが盛りだくさんでした。

工作だけではなく、古生物復元画家・小田隆さんによる「恐竜の描き方教室 ティラノサウルスの頭部を描こう!」や魚竜化石研究者・中島保寿さんによる「南三陸の化石研究最前線!―中島博士が語る魚竜化石の今―」といった講演があり、子どもから大人まで楽しめるイベントになりました。

半日で150人近くもの参加者が来場し、会場は大賑わいでした。
南三陸は、世界最古級の魚竜「ウタツサウルス」をはじめとする日本で唯一の魚竜化石産地です。
魚竜以外にも、アンモナイトや二枚貝などのたくさんの化石が採れることで有名な場所です。
今回の「南三陸化石の学校」を通して、地域の人たちに地元の自慢をちょっとでも知ってもらえたのではないでしょうか。
ここで知った化石のことを、いろんな人に自慢してもらえたら嬉しいです。
(文:白井孝明 写真:鹿納晴尚,白井孝明)